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2016-03-03 06:11 | カテゴリ:第三章
夜は明け、

朝日はそれぞれの思惑を照らし出す。











第一階層

遺跡内部 第一階層 最終フロア

モトカ「彷徨ってるうちにまた全然違う場所に出たな。見たとこ天まで続く塔の島…に、似ているけど。」

声「タイタニアは元々争いを好まぬ厭戦的な種族である。だが中には少数ながらも例外がいた。」

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アステガ「…………!」

プルミエンデ「またどこかから声が……あれ?でもこの声って確か…。」

声「突然現れた他種族からの侵攻の危機を感じた者、侵攻しようとした者、

かつての大戦でそんな者達が他の次元へと足を踏み込み己が意思のみで戦火を広げていたことを、

今の時代で知っている者はいない。

彼らの存在はあらゆる意味で『抹消』された。

天まで続く塔の封印に続くようにして。

エミル界に残され、元の世界に帰ることも叶わぬまま。

尤も、塔の封印が無くとも彼らが帰ることはできないわけなのだがね。」


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モトカ「!?」

声「全ての始まりは何だったのだろう。

この天まで続く塔が三つの世界を繋げた時か。

三人の星の眷属が自らの役割を変じた時か。

それとも、阿月とニユが出会ってしまったあの時か。」


アステガ「………俺達は年寄りの昔話を聞きに来たんじゃねえんだが。」

声「そう言うな。これはお前達が会いたがっている人間からの言伝なのだから。」

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レザシア「…いるならいい加減姿を見せてはくれないだろうか。」











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アステガ「死んだ奴が今更何の用だ。」

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ヴェイグ「おいおい…一言目がそれかよ。もうちょっとなんか無いのか、驚いたり再開を喜んだりとか。」

アステガ「偽物が白々しいこと言ってんな。」

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ニユ「? ? ?」

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プルミエンデ「? ? ?」

モトカ「…どういうことだ?ヴェイグさん、あんたルキオと同じで消えたって聞いたぞ。」

ヴェイグ「確かに私は死んだ。ここにいる私は今アステガが言った通りの偽物だ。死んだ魂や星に残った記録を参考にしてこの空間に再現された、な。」

レザシア「なるほど、場所やモンスターが再現できるとなると人もできておかしくはあるまいな。」

アステガ「…質問に答えろ。」

ヴェイグ「テオスは迷っている。」

ニユ「迷っている…?」

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ヴェイグ「ニユ、君は救世主の力を得ても記憶を取り戻しはしなかった。その使命を思い出しはしなかった。彼女はそれを最後の希望としていたんだ。普通の世界に行ってしまった君と共に生きていくためには、そうでもして守護者達の側に戻ってもらう他に方法はないのだから。…だが君はテオスに会いにここに来た。相手が一体どういう存在なのか知って尚、話をすることを望んでね。そのことに彼女は困惑しているのさ。」

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ニユ「共に生きていく方法は無いってどういうことさ。」

ヴェイグ「彼女は姉である君とただ共にありたいと願っているだけじゃない。君と共にあるうえで両者に幸せが無くてはならないと考えている。…だが君は結局こちら側に戻って来たがらなかった。それでは外界にいられない身体である彼女は共にあることはできない。」

ニユ「んなわがままな…。これから先もテオスが人を殺したりしない限り、たまにここに来るようにする。それでもだめなの?」

ヴェイグ「ダメだ。それは君を永遠にこちら側に縛り付けること。それは自分がお情けで繋がりを頂くということ。そんなことを彼女は望んでいない。君は…今の君が好きなんだろう?今の君を取り巻く世界が好きなんだろう?その想いは彼女の想いとは相いれないものだ。」

レザシア「なんでそんなに監督のこと知ってんの?」

ヴェイグ「だから私はテオス本人が作った偽物なんだってば。こういう形にした方が君達も話を聞く気になるだろうって狙いさ。」

アステガ「で、今の話とさっきの昔話に何の関係がある。」

ヴェイグ「……先程言った通りテオスはニユに元に、自分の傍にいた頃のように戻ることを望んでいる。その為に…まあ彼女も色々やってきたのだが、それでもどんなに手を尽くしてもどれだけ時が経っても君は元の君に戻ることは無かった。時間は二度と巻き戻らず、記憶をなくしてもそれは変わることはなかった。」

ニユ(じゃあ何?今みたいになる前も私はここから逃げようとしてたっての?)

アステガ「………。」

ヴェイグ「そして今、君の傍にはアステガという壁がおり、モトカという脅威ができ、レザシアは謀反し、プルミエンデによる策は失敗に終わり、ピスティスまでもが人の命に特別な価値を見出し、自分から離れていってしまった。」

ピスティス「あ……。」

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ヴェイグ「何よりどうあっても君は外界に興味を持ってしまう、人間でありたいと望んでしまう。それならば、もう自分は共にいない方がいいのだろうと彼女は考えた。諦めてしまったんだな。」

ニユ「そんな勝手な!」

レザシア「否定できるかね?監督が俺達と組んであの島の者達を食むような人ならざる人であることを忘れていないか。」

ニユ「そ…りゃできないけど!いきなり自分から私の前に現れておいて!こっちからなんも言わせないで一方的過ぎる!」

ヴェイグ「そう、そう言って君はここに来た。これはそんな君に対しての最後のあがきなのだろう。駄目で元々、自分達守護者のことを知ってもらい、救世主としての使命を取り戻してくれることを願いながら、君が今何故こうあるのか、そして君が体験してきた惨劇がそもそも一体何だったのか。それを彼女は君に伝えようとしているのだよ。」

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ピスティス(テオスがニユと共にあろうとし、そのニユをアステガは護衛する。この島で起こったことを簡単にするとこういうことで…なるほど、思えば巻き込まれただけのように見えるニユこそすべての人物につながりのある中心人物だったんだね。)

ヴェイグ「私が受け賜わった伝言はこれで終わりだ。テオスにもまだ考える時間が欲しいのだろう。時間稼ぎも兼ねてかこの先には私のようなメッセンジャーが何人かいる。…これ以上何も知りたくないのなら引き返してもいい。そしてテオスに追いついたところで、彼女の傍にいることを望まない限りそれは彼女に対しての拒絶以外の何物でもない。…他ならぬ君のことだ。よく考えてどうするか決めると良い。」

ニユ「…………。」

ヴェイグ「ただ、私個人としては…何を知ったとしても君には今のまま、ただの一人の人間でいてほしいと願うがね。」

ニユ「………。」

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アステガ「…その分じゃ偽物ってだけで中身はそのまま再現されてるようだな。」

ニユ「アステガさん?」

ヴェイグ「ああ、記憶から精神から何から何まで丁寧にコピーしてくれている。ただ伝言を頼むだけならここまで精巧にしなくてもいいだろうにな。」

アステガ「テメェ、本当は何が目的だったんだ?」

ヴェイグ「私の目的ならあの集会の時に言ったはずだが?」

アステガ「あのガキを止める。その為に自分はあいつの味方にありながら俺の精神的な成長を促し、あのクズとは別物であるとわからせる。それ自体はマジだったんだろう。だがそれだけじゃねえ筈だ。」

ヴェイグ「どうしてそう言える?」

アステガ「穏やか過ぎんだよテメェらの死に方は。何より騙す暇も与えない言い出しっぺが一番疑わしい。」

ヴェイグ「………やれやれ、それだけでよくも強気に出られるものだ。その様子じゃもう確信しているんだろうに、何故わざわざ私の口から言わせる?」

アステガ「テメェらの目的のせいで一番動揺してる奴に何も言わずに消えるのは勝手だろ。」

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ヴェイグ「……負けたよ。確かに私の…私達三人にはそれぞれ別の目的があった。それは───」

ニユ「?」

ヴェイグ「自分達の命と引き換えに、ニユに救世主の力を返すこと。…その一点だけで言えば私達とテオスは同じ目的で動いていたことになる。」

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ニユ「は……はああ!?おま、おまえら馬鹿なの!?何でそんな無駄なことに命張ってんだよ!こんな力持たされるほうの身にもなってくれよ!」

ヴェイグ「いや結果的には君が勝手に取り戻したんだがね?偶然とはいえ手間が省けたよ。」

ニユ「あ…そうなの?いやでも…でもさ…えー…………っと、んー!!んーー!!!」

ヴェイグ「落ち着きなよ、なんとなく言いたいことはわかるから。だがその力は元々君のものだしな。どのみち君は逃れることはできなかったろうよ。君だって言っていただろう、自分がどんな存在なのかを知った君が話をしに行くのがこのお話を丸く収める唯一の方法なのだと。」

ニユ「言った…言ったけど、それじゃあ……お前ら死にたかったのかよ。そんな死に方で、人生で満足だったのかよ!」

ヴェイグ「勿論死にたくはなかったさ。何もできない体で生かされ続けるのも嫌だったが。…こんな二択しか選べない時点で、もはや私達は人間とは言えない存在だったのかもしれないな。証拠に…見ただろう、友を笑いながら死に沈める、友が死して尚笑い合えるその様。あんな存在、この世にいちゃいけないんだ。」

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モトカ「……ッ!」

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レザシア「………。」

ニユ「そんな…こと、言われてもわかるか!」

ヴェイグ「私もルキオも、そうやって反対に人の死に心を痛められる君の姿を見たから決心がついたんだ。今の君なら力を返しても命を狩ることはないだろう。今の君なら、きっとその力とも折り合いをつけて自分の人生を歩んでいけるだろうとね。」

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ニユ「なんだよ………なんだよそれ!それじゃ結局私のせいだってのかよ!」

ヴェイグ「そんなことは───」

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アステガ「ざけんな。」

ニユ「ぬ!」

ヴェイグ「!?」

アステガ「こいつらの覚悟がおかしいだけだ。テメェは誰も殺してねえ。テメェのせいで死んだ奴なんざどこにもいねえ。」

ニユ「…………。」

ヴェイグ「…こいつの言う通りだよ。申し訳ないが一つだけお願いがある。…これから先君がどんなことを知ったとしても、トンカ島で起きたことや過去に君がやったこと、そんなものに今の君が責任を感じることは絶対にない。この言葉を胸に留めておいてくれないか。」

ニユ「…………。」

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ヴェイグ「君が自分の存在に絶望することを望んでいない人が大勢いるんだ。君の今の姿を何よりも望んだ人がいるんだよ。……お願いだ。」

ニユ「………。」

アステガ「………。」

ヴェイグ「………。」

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ニユ「………わかった。」

ヴェイグ「…ありがとう。」











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アステガ「…どうする。まだ進むのか。」

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ニユ「うん。話はつけなきゃだし。昔話なんて聞かされてもピンとくる気がしないし。」

モトカ「呑気だなあ…。」

プルミエンデ「ニユ、大丈夫?」

ニユ「大丈夫だよ、ちょっと頭ぐっちゃぐちゃになってるけどな。」

プルミエンデ「…無理しないでね?」

ニユ「しないしない。大丈夫大丈夫。」

モトカ「冷静になれよ。またさっきみたいなこと言ったら今度は俺が怒鳴るからな。」

ニユ「大丈夫だっつーのに。大きなお世話だ。」

レザシア「言うねえ、そうでなくちゃ面白くない。」

ニユ「お前の言葉は求めてねえから。」

レザシア「…やれやれ、とことん嫌われたものだ。」

モトカ「その調子なら本当に大丈夫そうだな!」

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アステガ「………。で、ヴェイグ、テメェは?」

ヴェイグ「ん?」

アステガ「これからどうなる。」

ヴェイグ「死人の偽物は潔く消えるとするさ。どうした、あわよくばここから引っ張り出そう──なんて考えてくれたのか?」

アステガ「悪いか。」

ヴェイグ「………。」

アステガ「無理なのか。」

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ヴェイグ「フッ、ハハッ、ハハハハハハハッ!」

アステガ「…無理なのかってきいてんだが。対応次第じゃ抱えてでも放り出すぞ。」

ヴェイグ「はー、いや悪い悪い。余りに素直に答えるお前が何だかおかしくてな。そうだな、無理だ。今の私は舞台装置と同じさ。この迷宮、どころかフロアだけの存在だよ。もし少しでも勝手やろうとするなら惑星に喧嘩を売って勝つ覚悟くらいは必要だな。人が生き返るってのはそういうことだ。私はそこまで馬鹿にはなれないさ。」

アステガ「そうかよ。」

ヴェイグ「お前も、その調子なら本当にもう大丈夫そうだ。まあシンヤやプルミエンデちゃんをこの場に連れてきていると知った時から心配はしていなかったが。」

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アステガ「…………。」

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ヴェイグ「無茶も無謀もいいが、無理はするなよ。私に質問攻めした時みたいに、たまにはお前も誰かを頼っていいんだぞ。」

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アステガ「………じゃあな。」

ヴェイグ「ああ、今度こそさよならだ。」

アステガ「今までありがとよ。」

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ヴェイグ「…その冥途の土産は本物にやるべきだろう。全く成長しても変わらず不器用な奴だ。」















第二階層到達

シンヤの霊圧が消えているように見えますがちゃんといますよ。見えない所に。
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