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2014-12-05 23:37 | カテゴリ:第二章
多分今の全力。だが本当に半端な奴は全力までもが半端なものでね。

…状況が解らないなんてことは無いと思いたい。






金属の泣く音と共に一本の短剣が宙を舞う。


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結果がわかっていたのは此方も同じ。殺し方をいくら見て学習していても闘い方までは彼は知らない。


唖然とする暇も許されず、顔の両隣から乾いた音が鳴る。斬られた空気の悲鳴。


ナイフを投げる動作も、その軌跡すら見えていないピスティスは、だが困惑することもない。


命が惜しい。自分の命が、眼前で足蹴にされて倒れている自分が知る命が。彼の目に頭に映るのは拾うべき命のみ。


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モトカ「失せろよ。俺はレザシアと話つけに来たんだ。」


自分の鼓動と呼吸以外何も感じず、果たしてまだ生きているのかすらわからなくなる。


もう死を恐れる理由に疑問を持つことはない。それは既に眼前。真っ暗闇が広がるようで。


そんな闇と向き合って初めてただひとつ手が残されているのに気付く。


モトカを操ればいい。それに何故気が付かなかった。


それとも気付きたくなかったのか。人の死にそれほどまでに怖気づいたと?


頭の片隅でまだあの女の声がする。本当に恐れているのは死だけか。


もう考えるな。いや、考えていたっていい。動け!生きるために!


今まで憑依できていなかったことなど知ったことか。最早他に打てる手など無い。


今まさにため息とともに、死が此方に一歩近づいているのだ。












沈黙の下で繰り広げられていた筈の戦いに、か細い悲鳴が轟いた。


耳にしたアステガは今にも鼻骨を割らんとしていた拳を止め、泣き出しそうに引きつった人形の表情を見る。その目の動きが人のそれであることを確認。


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アステガ「………手間かけさせやがって。」


言葉遣いとは裏腹に彼が心底安堵していることはプルミエンデには伝わっていないようだった。顔から強張りが消えないのはお互い様という所。その上先まで鉄拳を見舞われそうな体制で向かい合っていたのだし無理もない話だが。


ともかく停める必要が無くなったのであれば、次すべきことは彼女を落ち着かせることではない。プルミエンデに背を向けテオスの方へと向き直る。


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その場に座り込んで俯いたまま動く様子が無い。近づいて耳を欹てると息があるのが辛うじてわかる。髪を掴み顔を上げさせて見た所まだ意識はあるようだった。覇気無くも恨めしげな視線が真正面から刺さる。


アステガ「何故支配を解いた。そう命令すりゃテメェが寝ようが死のうがあいつは戦い続けられた筈だろ。」


疑問を投げるも半開きの口から答えが返ってくることは無い。


アステガ(相当弱ってやがるな…。無理もねえが。)


先程兜を投げつけたことに後悔しつつ言葉を探す。一方的に喋るのは得意ではないが一刻も早くこの場を丸く収めたい。手をつけねばならないことは他にもある。


アステガ「答えなくていいから聞け。俺にとっても今の状況は気に入らねえ。テメェん家で救世主をどうするか、妥協点を探すぞ。勿論本人も交えてだ。いいな。」


言い終えて、それまで何もできず立ち尽くしていたままだったニユの方を一瞥する。


その時彼女が見ているもの見ている表情がもう少しでも早く読み取れていたら、と後にアステガは後悔することになる。


戦闘を終えたことによる油断と他者の感情をまるで考えようとしないその思考、その時彼はニユの近辺のみに気を配っていた。










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一方、プルミエンデは既にその場から走り去っていた。


重く感じる一歩ごとに数少ない記憶がフラッシュバックする。


とにかく!早く全員そいつから離れろ!


多分、貫通死するまでその子タコ殴りにして邪魔者を一掃すること。


確かにそいつは私を殺そうとしたし…あんたのおかげで私は生きてるけどぉ…


殺す、あんたは死んでも殺す。死ななくても殺す…!



精神の状態は錯乱に近い。ただただあの光景、あの人間たち、突然浮かび上がった記憶、身体に確かに残る感覚、何もかもが不確かな自分、それら全てから逃げ出したくて、考えるより速くひたすらに走る。


そうすることしかできなかった。自分の中に産まれつつある生への執着、芽生えつつある罪の意識、それらの理由も向き合う方法すら自分には解らないのだから。


初めて肌に感じる夜空から落ちる闇が心地よく思えた。何一つ解ることがないという現実に目を向けずに済むから。恐怖するべき他人を覆い隠してくれるから。


視界の悪さからか脚が縺れた。派手に地面と口づけを交わす。その衝撃に先程自分に突き付けられた拳を思い出した。不思議とあの光景が自分の存在理由を語っている気がした。


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痛みは感じない。不思議と疲労も無い。だがどうやっても起き上がる気にはなれず、


このまま全てを投げ出してみるのもいいかと思ってしまう。意識が混濁する。


条件1:第二章会話パートにて『設定を弄る』を選択している
条件2:第一章戦闘パートにてアステガでプルミエンデを撃退している
条件3:第二章戦闘パートにてプルミエンデを撤退させている
以上の条件が満たされている場合サブシナリオが発生します。













頭の中で何かが弾けるのを感じた。視界が歪み、一瞬だけ赤みを帯びる。


今まで心を鷲掴みにしていたはずの恐怖が怒りに塗りつぶされ、破壊的で破滅的な衝動が体に満ちる。自分を取り巻く現実すら見えなくなっていく。


人殺しに家に踏み込まれる恐怖、知った者同士が殺し合いをする緊張、そんな場から逃げ出すことを禁じられたことによる困惑、人が血に沈んでいく、三度に渡り繰り返されんとする悪夢。


何の心得もない一般人が正気でいるには余りに多大な負荷。ニユの精神はとうに限界を迎えていたのかもしれない。


アステガが止める暇もなく、衝動は引き金を引いた少女を捉えた。


もう止まれない。自分の平和が脅かされるのはもう嫌だった。脅かす奴が許せなかった。


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ニユ「あ゙あ゙あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


何故だかその時になって手足の動かし方をようやく思い出した気がする。












地面から大気にまで振動が走る。瞬間、ナーバスになっていたモトカの気が張る。


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モトカ(地震!?………いや違う、それにしては余りに短すぎるし唐突過ぎる!)


震源の方角を推測する。その先にいるはずの人物は───


モトカは先程の迷宮でルキオから聞いた話を思い出していた。












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ルキオ「まず彼女の正体を説明するにあたってその前に地球を守護している者達のことを説明しなきゃなんない。」


ルキオ「元々彼らは護衛者、指導者、救世主って特殊な能力を持っている三人が組になって人口の調節を行っていた。今は救世主はわけあって事実上空席になってるんだけど。ちなみに何でこんな呼称になってるのかまではあたしは知らないからその質問はしないように。」


ルキオ「護衛者に関しては…もう知ってると思うけど一応。人間に特殊な憑依をして遠隔操作し、死に追いやる能力を持たされた人間のこと。」


ルキオ「次に指導者。彼女は大した能力は何も持っていない。それどころか意図的に人間より弱くされている。」


モトカ「…理由は?」


ルキオ「彼女が持つバックアップという役目のせい。護衛者や救世主が何らかのトラブルで斃れた際に彼女がいればその能力を別の人間に移し替えることができるの。その為に救世主は普段は彼らだけが足を踏み入れられる住処にずっと引き籠って外界に出ない。地球の重力にすら抵抗できない虚弱な身体にされて尽きることのない寿命をただ生きている。」


モトカ「…エグいな。」


ルキオ「うん、そう思う。そんな環境で過ごしてきたからこそ彼女は救世主に依存していったんだろうなあ。」


モトカ「で、最後の救世主って奴の役目は?」


ルキオ「今まで聞いてきて、残酷な能力って思った?」


モトカ「道徳的には。あと…正直もうこれ以上何も必要なくないかとも。」


ルキオ「うん、それはこの星としても同じらしくてあんまり人を苦しませるのは本意じゃないんだってさ。だから救世主みたいな存在が産み出された。その役割は───」


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ルキオ「───人間を何一つ苦痛を与えずに殺すこと。彼女がその手で殴った物は粉より細かく粉砕され塵も残らない。痛みを感じる暇もなく死ぬことになる。」


モトカ「つまりグロいのヤダし一発で綺麗に死なせる役か。やってることちっとも変わんねえ気がするんだけど。」


ルキオ「…そしてその救世主こそがあのニユなの。」


モトカ「………ちょっと待ってくれ。前俺は一度ニユと闘った…というか気絶させたことがあったぞ。それに……あんな奴だぞ?そんな大層な力を持っているなんて到底思えない。」


ルキオ「彼女は今星から譲り受けた力も記憶も失っている。無理もないわ。…モトカ、あたし何歳だと思う?」


モトカ「いきなりだな…。だけどそれも以前説明を受けた時から確かに疑問だった。」


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ルキオ「…あ、やっぱ実年齢言うの止しとこ恥ずかしい。少なくともエミルの寿命を考えたら不自然な年齢とだけ言っておくわ。」


モトカ「訊かせといて言わないんかい。まあいいけどさ。」


ルキオ「あたしがこの姿のまま今も生きているのはニユからその力と命を預かってるから。ヴェイグとユリアと阿月も同じでね。だから殺されても死ねないし老いることもない。そんでそれらは普通の人間には随分と相性が悪いものらしくてね、成長して得てきた力全部を無力化しちゃうんだわ。」


モトカ「………………………………。」


ルキオ「……そりゃ意味わかんないよね。こっちも同じなのよね。そしてこれが事実ってのがね。」


モトカ「いや、…いや、嘘言ってるとは思わないさ。」


ルキオ(今の一拍の間はなんだったんだろう。)


モトカ「色々訊きたいことはあるけど、何でそんなことに?」


ルキオ「あー…まあいろいろあってね。昔のことは昔のこと、貴方たちとは関係ないことだしそれは別に知らなくて良いや。」


モトカ「…質問を一方的に拒否されるのって結構辛いもんなんだぞお?」


ルキオ「あれ、なんかいつもより気が短くない?」


モトカ「最近こういうこと多かったからな。」


ルキオ「と、ともかく今重要なのはニユは救世主で本来はあちら側の存在だってこと。その力と記憶を失って何故か今トンカ島で暮らしていること。そしてそのニユを指導者は本人の意志に関係なく救世主として取り戻そうとしていること。だからあいつらここより文明が栄えていて人口が膨大なアイアンシティやアクロポリスじゃなくずっとトンカに居続けているの。」


モトカ「じゃあ何で指導者はニユを取り戻そうと?さっき聞いたそいつの役割の話とじゃつじつまが合わないじゃないか。」


ルキオ「そりゃ二人が姉妹だから。」


モトカ「!」


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ルキオ「護衛者は幾度となく交代を繰り返してきたそうだけど、あの二人はずっと一緒に生きてきた。大戦がはじまる前から、世界が繋がる前から、機械がこの世界を覆う前から、ずっと。……きっと指導者はこれからもニユと生きていきたんだと思う。同じ場所、同じ時間を同じ立場で。」











モトカ(…お前に責任を感じなくていいって言った俺が責任者になるわけにはいかないか。)


かつて確かに自分が言った言葉が脳裏によぎったことで冷静になれたモトカは護衛者と再び向き合う。


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距離が開いていても此方を見る目が怯えているのがわかる。そんな人間に普通に話をしてもまともに取り合ってはくれないだろう。それにそこまで怖がらせたことに対してのけじめもつけなければならない。


モトカ(もし万が一にもあいつが力を取り戻したとしても胸張ってあいつの友人だと言える俺である為に。)


ルキオもそれも望んでいたはずだ。


いや、誰かの意向なんて考えなくていい。ただ自分がどうありたいかだけはもう見失わない。


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モトカ「すみませんでした。お願いします。レザシアと話をさせて下さい。」


俺は平凡な生活に憧れていたはずだろう?なあ?


条件1:サブシナリオ「それはとても残酷なこと」を発生させていること
条件2:すべての戦闘パートにおいてモトカとレザシアが交戦していること
以上の条件が満たされている場合サブシナリオが発生します。












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ニユ「…………………。」


テオス「………姉、さん?」


ニユ「違うよ。」


テオス「………………。」


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ニユ「違う、そんなんじゃない…。私はこんなこと、こんなことしたくなんか、こんな……私は……。」


アステガ「答えなくていい。」


ニユ「あ………ぁ?」


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アステガ「………ただ落ち着け。何もしようとするんじゃねえ。」


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ニユ(………もう………もうやだ───)


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テオス(そんな………。)


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アステガ「…………。」












第二章戦闘パート終了。

各種エンドパート、サブシナリオを消化後、最終章へと移行します。
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