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2015-01-06 04:47 | カテゴリ:過去
サブシナリオ「夜が明けたら」発生条件
条件1:サブシナリオ「それはとても残酷なこと」を発生させていること
条件2:第二章戦闘パートにおいてモトカでレザシアを撃墜していること

警告:
暴力的な…というか胸糞悪い表現があるかもしれません。覚悟完了した方のみどうぞ。
多分この記事は読まなくても物語を楽しむ上の支障はないと思います。
あと今回画像はありません。











これは彼女の、彼の本心。











幼い頃から殺しばかりしていた。

読み書きより殺し。他人との交流より殺し。食べるより殺し。眠るより殺し。

物心ついた時から他の何より殺人の学習が優先されていた。

まず高所から眠った人を落として人の死に慣れることから始まり、

それに慣れたら今度は人体の仕組みについて本物を目で見て学習し、

それを数こなしたら次は刃物で、鈍器で、身体でどこをどうすれば人が死ぬのかを実践で教わった。

育ててくれる、慕っていた人は私が人を手にかけることを何より喜んだし、

周りの人も私がそうすることを望んでいたようだった。

また、当時私自身も訳も知らずにその期待に応えられることが嬉しかった。

そうして私は成長するにつれ

声を出すより、呼吸をするより、瞬きをするより自然に人を殺せるようになっていった。

耳を劈く断末魔、肉を斬る感触、骨が砕けた時の異音、血の温かさ、冷たくなっていく人肌。

そんなものも、頬を撫でる風と変わらないものだと感じるほどに、

慣れていた。

慣れきっていた。

慣れきっていたはずなのに、

死ぬ間際の人が表情を失くす瞬間を見た時だけは、未だに胸がつかえるのを感じる。

哀しいような、愛しいような、この感覚は何なのだろうか。














今日もまた二人は帰ってこない。

一人で起き、一人で食事をとり、一人で眠りにつく。

物心ついた時から退屈と空想と思考を友とし、既に心は孤独に慣れきっていた。

両親の顔を最後に見たのはいつになるだろう。書置きばかりが記憶に甦る。

二人は軍の偉い人で仕事が忙しく、滅多に家に帰ってこられないそう。

家に人が来るのは決まって面倒を頼まれた近所の人か職場の部下の方ばかりで、

訪れた後も決まって煩わしそうに、気まずそうに皆そそくさと帰っていくのだ。

そうしてまた時間だけに埋もれていく。

そのうち自分に親がいることさえ忘れてしまいそうで、たまに少し怖くなる。

怖いと思うと同時に、そんなに重要なことでもないようにも思えてくる。

お金をかけ、命を保証すること。それに応え感謝を文字で伝えること。

親子ってそういう関係なのだろうか。

家という箱庭に閉じ込め、身の安全を保障すること。それに従い、精神の安寧を守ること。

家族ってそういう関係なのだろうか。

ただ眠り、食べ、排泄することだけを繰り返す自分。

それは人間であると果たして言えるのだろうか。

誰も答えてくれる人はいない。問う相手さえいない。それを不思議と思うことさえせず、自問に耽る。

答えなんて出す気もないのに。

今日もまた二人は帰ってこない。















無数の死体のような視線が心の臓を串刺しにする。

誰も私を見てはくれない。

殺されるのは仕方ない。今まで料理する側だった自分が、今度は料理される側になるだけのこと。

別に何の不思議もないし、不満はあるけどしょうがない。ただ───

そこにいる全ての人が私の存在を無き物にしようとしている。

誰もが自分のことを想おうとしない。誰も自分のことを覚えていようとしない。

同じ人として見ていない。彼らの目は全てがそう物言っている気がして、

何故かその事実が私の胸を締め付けた。

生きたい。

初めてそう思った。目頭が熱くなるのを感じる。

今まで目の前で息絶えていった人間達の表情を思い出す。

私は貴方たちのラストシーンを、人生で一番綺麗な表情を覚えている。絶対忘れたりしない。

思い出した映像が重なる。目の前の光景と。

そして貴方がくれた切なさも私は忘れないから、

だから、誰でもいいから、世界にたった一人でもいいから、ほんの一瞬だけでもいいから、

役を演じる私を、私だけを見てくれる人がいてくれたっていいじゃないか。

そう思ってしまうのは我儘?













『私たちは今機嫌を取ってますよ』

そう書いてあるような顔が気に入らなかった。理由はそれだけ。

重ねていた体から体温が流れていく。

結局最後まで抵抗しなかった肉親から刃を引き抜いて、返り血で感覚が戻り始めた自分の手を見る。

感慨なんてなかった。表情がまるで変わっていないのが自分でも目に見えるよう。

死にたい。

棒か、針か、はたまた糸に例えるか。そんな調子の声が自然と口から洩れる。

自分を抱いたまま固まろうとしている体をどかした。

行き場を無くした体は飛空庭の外へ、宙を落ちていき、豆粒となって消える。

彼女は結局、誰を何から守りたかったのだろう。

腕の強張りや温もりを思い出しながら、子供は興味のない自問をまた一つ。

爆音が轟いた。飛空庭全体が大きく揺れ、振られた体は仰向けに倒れる。

何が起きたのか等考える気も起きない。

今度は黒煙に身を包まれながら、ぼうっと空を眺めた。

おやすみなさい。言い聞かせる相手はまた自分。











誰一人として私のことなんて眼中になかったらしい。

向かってくる役者も、舞台に巻き込まれる代役も、逃げ惑う観客ですら、

最期は他の何かを見ながら役目を終えていった。

私は人にはなれない。彼らのようにはなれない。誰もそう認知すらしてくれないのだから。

ならばいいだろう。俺は俺だ。

あんた達が教えてくれた方法で、命の使い方で、

あいつが言った『殺しなんてない世界』とやらを歩いていってやろう。


夕日に映える血の海に一つの長い影が落ちる。既に生きている者はおらず、そこにはソレだけが立っていた。

「災いの連鎖は断ち切られるのが道理。偶然今日がその日だったようだなぁ。いや、アンタらも運が無い。」

ソレは言いながら、手に持ったナイフを見て微笑う。

人も世界も俺を異端とするならば、それら全てに返礼をしてやるまでだ。

さあ、次なる舞台を探しに行こう。


「………まあ、〆切などまだ決まっていないわけだし、そこは気長にやるとするか。」

言った後、ソレはいなくなった。

日が沈んだ。血の海の色が黒く変わる。












「もしよかったらだけど、あたしと来る気は無い?」

「正気?」

混乱に混乱を上乗せされ、無意識に口から零れ落ちた言葉。

それにすべての記憶、現実味を叩きつけられる。

体が冷える。顔から表情が抜けていく。

「嫌だ。」

「それは残念。で、君はこれからどうするの?」

「…………。」

「どうするの?」

「どうもしない。」

「どうもしないの?」

「どうせ───」

「ならあたしもどうもしない。」

言い、ルキオは向かい合う形で座った。

それから数日ずっとそこでそうしていた。宣言通り眠ることも食べることもしなかった俺は結局気を失ってしまい、ルキオに蘇生してもらう訳だが、それ以外、彼女は本当に何もしようとしなかった。俺と同じように表情一つ変えず、石になったかのようにただその場で座り込んでいた。

同じことを何回繰り返しただろうか、生と死を彼女に操られている内に、何故かこの人の提案なら聞いてもいいか、と思い始める。

その後、俺は色んな生きる方法をルキオに教わった。彼女があの場で拾おうとしてくれなかったら今の俺はなかっただろう。言葉では直接口にしないけれど、本当に感謝している。

自分がかつて負った罪に対してとっかかりを感じてはいる。けど、それが解決するのはもっと後の話。














彼女は人の死を見て生きてきた。

彼は生きることしか許されなかった。

彼女は生を求めて人を殺した。

彼は人を殺した先に死を望んだ。

彼女はあたしに殺し方を学んだ。

彼はあたしに生き方を学んだ。

二人は同じ人殺し。でもそのあり方は完全に対極。

そんな二人が実質の親であるあたしを通して繋がるんだもの。互いに反応しないわけがない。

もうこの方法しかない。あたしの声が通じないあの子の心に踏み入るには、

あの子にとって最も興味の沸くであろう存在を作り出し、代役に仕立て上げるしか。

でも、こんなことをしておいて都合のいい話とわかってはいるけれど、

モトカ、君に近づいたのはその為だけじゃないってことは信じてくれないかなあ。なんて。












サブシナリオ「夜が明けたら(前編)」おわり。

次回に続きます。
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