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2009-05-26 02:37 | カテゴリ:始まる前のうんたら

運命は信じない。もし信じたら、全ての事象が運命の一言で説明できてしまう気がするから。

そういうのはあまり好きじゃない。














昔を振り返ってみると、俺は刺激という言葉とはよほど縁のない生活を送っていたんだな、と思う。
それは今が事件の連続だからか、はたまた本当に「何も無い」生活を過ごしていたからだろうか。
それも「平凡」という基準を理解しなければ、わかるはずないことなのだけれど。

「それは人によって違うものよ、私達が決めても何の意味もなさないことだわ。」

少し前「平凡とは何か」を訊いたとき、あの人はこう言った。まさしくそのとおりなのだが、それで片付かないのがこの年頃の特徴なのだろう、俺は未だにそれを悩んでいた。
考えたところで何の意味の無いことは解る。だが、それでもいつも俺の頭は答えを求めている。

「平凡とは何か」

それは、かつての俺のように両親と共に何不自由なく暮らす事だろうか。
それは、今の俺のようにあの人に振り回されて旅を続ける事だろうか。
それとも、もっと別の何か?とすると、他者から見た俺の周りは常に異常でいっぱいだったりするのだろうか。
だとしたら、いつまでもそれについて考えている俺の思考にも合点がいく。

その仮説と思考から導き出される解。それは単純に俺が「平凡な生活」に憧れているということだ。

ここまで辿り着いて思う。

「俺はまた何くだらないことを考えてるんだか。」














俺とあの人が出会ったのは、数年前のトンカエクスプレスの飛空庭の中でだった。

季節は確か夏。俺は両親に連れられてトンカへ旅行に行くところだった。何故その時期だったか、何故トンカだったのかは今は覚えていない。
その日、乗客は俺達とその人だけで、他には誰もいなかった。今思えば、そのおかげであの人と知り合う事が出来たのかもしれない。いや、死なずに済んだのかもしれない、と言いなおしたほうがいいか。

その庭は事故で墜落した。

それにより両親は死亡。俺とその人は何故か無傷で生き残り、身寄りの無くなった俺はアクロポリスの白の聖堂に保護される事となっていたらしい。
目が覚めたら見知らぬ部屋のベッドで寝かされていた。何故か無性に怖くなって、急いでそこを脱走した。途中、司祭風の男がこちらへ向かって何か叫んでいたが、何を言っていたかはやはり覚えていない。多分当時の俺にはその「見知らぬ部屋」がよほど恐ろしいものに感じられたのだろう。
必死に走って、走って、走って、気がついたら辺りは草原だった。それに気づくと同時にどっと疲れてその場に倒れる。
しばらく休んだ後、止めていた思考を再起動。
親はどうなったのだろう?なんで俺はあんな場所で寝かされていたんだ?トンカへの旅行はどうなったんだろう?
などと疑問に思っても答えなど出るわけもない。そしてそこまで考えたところで重大な事に気づく。
超必死に走ってきたから、ここがどこか解らない。帰り道も解らない。
辺りを見回しても一面草原。どうしていいかわからず唖然とする。

「お互い災難だったわね。」

あの人が現れたのは、そんな時だった。
Tシャツにジーンズにスニーカーというラフな格好で、長い茶味がかかった黒髪をポニーテールにしたエミルの女の人だった。飛空庭にいた時は眼にも留めていなかったから正確には初めて会ったのはそこということになるのかもしれない。
自分のことをルキオと名乗ったその人は、俺たちに何が起こったか、そして俺がどんな状況かを教えてくれた。もちろん、両親のことや俺の保護の話も。

「あんまり落ち込まないのね?」

全て話し終えた後、彼女はそう言った。
もちろん落ち込んでいなかったわけは無い。多分頭がついていってなかったのだろう。どうも全て現実味に欠ける話ばかりだったから。
そして、次投げかけられた言葉によってさらに思考は混乱してしまう。

「もしよかったらだけど、あたしと来る気は無い?」














「モトカー!そろそろトンカ行きの庭が出るって!」

少し遠くでルキオの声がした。いつもと同じ変に明るい声。
彼女が何故、何を考えて旅をしているのかは知らない。俺と同じで身寄りが無いからかもしれないし、そうじゃなくなにか目的があるのかもしれない。まあいずれにせよ、俺には関係ないことだし。
今の俺にとっての「平凡」はその旅に同行する事。今はそれでいいのかもしれない。第一今更別の生活なんて送れそうにない。
何か違う気も、しないではないが。それは今は置いておこう。

「おう、今行くよ。」














運命ととらえ、諦めなければ耐えられない事もある。

人というのはいつの世も勝手な生き物である。
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